脳動静脈奇形 (AVM) の疫学研究

2005年~2006年

 

京都大学医学部附属病院 在職中に行った研究

 

過去1983~2005脳動静脈奇形(AVM)の診断で京都大学医学部附属病院に入院した患者302人(男性175人、女性126人)をサマリーから調べ集め、統計学的検討を行った。

 

平均年齢;32歳(3-76歳)

発症形式;出血     157

     てんかん 61

     虚血      28

     頭痛      24

     無症状    32


AVMnidusの大きさ; 

   Small    30mm未満       116

  Medium  30以上60mm未満   151

   Large    60mm以上                 35

 

 <この研究から得られた結果>

 

A. 年齢が若いほど 出血リスクが高い

   (成人と比較して小児は2.7倍のリスク)


B. 女性の方が男性よりも出血リスクが高い

   (男性と比較して女性は2.9倍のリスク)

 

C. 出血発症AVMの出血リスクが最も高く、

  (年間出血率 6.8%)

   続いて 頭痛   (年間出血率 6.5%)

        無症状   (年間出血率 6.4%)

        てんかん (年間出血率 2.2%)

        虚血      (年間出血率 1.7%)

  であった。

  出血発症AVMの出血リスクは、

  初回出血後の一年目が最も高く、

           (年間出血率 15.4%)

  2年目から5年目までは 5.3%と減り、

  5年目以降1.7%にまで低下する。

  つまり、何も治療を行わなくても5年間

    再出血がなければ、出血したことがない

    のと同じくらい出血リスクは低下していた。

 

このデータは京大病院単一施設のデータ解析であり、得られた結果は、

全国規模の前向きコホート研究で検証すべきと考えている。